叙情派 ひとつ(メタ・パラダイム)

ぷに子は初めて目にする本ですが、「ノン・ストーリーマンガ」という誌名を前身とし、もう6号を重ねてきているそうです。で、今回誌名を変えて仕切りなおしの一号目とのこと。

その2つの名が示す通り、厳格なストーリーテリングの枠に囚われない、全編一つで「叙情」の世界を描く「ノン・ストーリーマンガ」作品が集まっています。
この「ノン・ストーリー」という手法は、一枚絵で自らの世界を濃密に描ききってしまう画家が存在する以上、漫画そのものの可能性を示すものとしては弱いかもしれない。しかし一方で、敷居の低さという面では大きな可能性を秘めているのではないかと思います。画力はちょっと及ばなくとも、ページ数をかければ心の内にある世界を表現出来る、という人は決して少なくないはずだから。
「ヒトは誰でも夢の丘を持っている」とは、日本のプログレバンド、KENSOの名コピーですが、その「夢の丘」を表現する手段となると、目に入ってくるものはどれもこれも人生の一部分を犠牲にするものばかり。でもこれなら、誰もが、とまでは言わないまでも、案外多くの人が「表現者」となれるのではないか。実際ぷに子も「自分もちょっとやってみようかな?」と思えてきましたから☆
無論、研ぎ澄まされた技術の上に成り立っているものではない以上、読み手にもある種の心構えが必要となってきます。でも、ぷに子がそもそもコミティアに通い始めたのは、こういう漫画、こういう表現に出会いたかったからなのよね。収められている作品全てに描き手の「夢の丘」が現れていて、ぷに子自身はとても楽しく読みました☆
なお、この本既に3号刊行されているらしいです。それぞれ発行部数100冊と、かなり小規模な感じではありますが、末長く活動して欲しい存在です。

サイトはこちら。
http://www14.big.or.jp/~hitotu/

ところで、これ買ったブースでは、「コミックFANTASY」という、元々商業誌だったらしい本も買いましたが、正直こちらはちょっち辛かったです★★★でも、下で暴君さんが名前出されている紺野キタ氏もこちらで執筆されている(いた?)らしいので、じっくり読めば、また感じ方が変わってくるかもしれませんね。